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修士論文:「マッハツェンダー型光干渉計を用いた色素ドープ液晶の光誘起屈折率屈折率分布の精密計測」

論 文 概 要

液晶材料に他の光機能性を有する有機材料をドープし、光熱効果や光異性化反応など種々の光機能性を持たせることができる。 その光学的非線形性を応用して光情報処理に応用しようという研究が活発化している。このような応用を実現するためには、 液晶中に発生する光誘起屈折率変化の空間分布を詳細に解析する事は光機能性の発現メカニズム解明上からも非常に重要であると考えられる。 本研究では、光熱効果を例に取り、複素屈折率変化の空間分布をマッハ−ツェンダー干渉計を用いて計測する事を試みた。

  マッハ−ツェンダー干渉計のプローブ光にHe−Neレーザ(λ=632.8nm)、サンプルに光誘起複素屈折率変化を生じさせるため照射するポンプ光に Nd:YAGレーザの第二高調波(λ=532nm)を使用した。使用したサンプルは、ネマティック液晶(5CB)に色素(1-(N-Methylamino)anthraquinone)をドープしたものを用い、 液晶の配向はホモジニアス配向とした。この色素はポンプ光の波長を強く吸収し、発光も伴わず、光熱効果による屈折率変化が期待できる。 また、プローブ光の波長ではほとんど吸収がない。その結果1×10-3〜5×10-3程度の複素屈折率変化の実部(冢)の空間分布を精密に測定できた。

  しかし、それ以下の小さな領域の変化は検出器のノイズによるS/N比低下のため、同定できなかった。そこでロックイン法とマッハ−ツェンダー干渉計を 組み合わせることによりノイズを除去し、2×10-5〜8×10-4程度の複素屈折率変化の空間分布(実部Δn、虚部Δk)の同定に成功した。 この空間分布にポンプビームのプロファイルであるガウシアンカーブをフィッティングさせると誤差範囲内でよく一致した。2W/cm2程度の光強度の領域では 複素屈折率変化量はポンプビーム強度に対して比例することがわかった。また、実部Δnの空間分布のe-2の幅は、ポンプ光のe-2幅に対してやや広がった。 これは屈折率変化が光熱効果によるため、熱拡散によって温度分布が広がっているためと考えられ、熱伝導解析によると、同程度の広がりがあることが確認された。 この測定法を用いることによって、精密な複素屈折率変化の空間分布の観察が可能であることが実証された。種々のメカニズムによる光誘起屈折率変化の同定に有益であると考えられる。

(査読論文)

1. Observation of spatial distribution of laser-induced refractive index change in dye-doped liquid crystals.
H. Ono and H. Saeki
Liq. Cryst. 28 (2001) 1775-1778
2. Spatial distribution of complex refractive index change in guest-host liquid crystals
determined with a phase-sensitive interferometric method.
H. Ono and H. Saeki
Jpn. J. Appl. Phys. 40 (2001) 5363-5368.

(口頭発表)

1. 2000年10月 液晶学会討論会予稿集
液晶中の光誘起屈折率変化分布の光干渉計による精密計測
佐伯創、小野浩司
2. 2000年10月 電子情報通信学会信学技報 OME
色素ドープ液晶の光熱効果による巨大非線形光学効果
小野浩司、菊原純一、佐伯創、吉田真、柴田和明
3. 2001年3月 第48回応用物理学関係連合講演会予稿集(第3分冊)
色素ドープ液晶の光誘起複素屈折率変化の空間分布の精密決定
佐伯創、小野浩司

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